「何か特殊な能力があるか」と問われれば、私は迷うことなく「新暦(グレゴリオ暦)のみならず旧暦(ユリウス暦、紀元前含む)の曜日計算ができる」と答えるだろう。任意の年月日を指定されれば、私はその曜日を即座に言い当てることができる。
(1)曜日計算手法の開発
幼い頃、『びっくり超人大集合』のようなテレビ番組で、曜日を瞬時に計算できる人が登場していた。スタジオに大きく張り出された紙には、明治時代やはるか未来の年月日とそれに対応する曜日が書かれている。誰かが適当に指さした日付の曜日を、その超人はピタリと間違いなく当ててしまうのだ。「どれだけ凄まじい記憶力をもっているのだろう」と、子供心に本当に驚いた。また、映画『レインマン』では、ダスティン・ホフマン演じるサヴァン症候群の兄がカレンダー計算を披露し、トム・クルーズ演じる弟を驚かせるシーンが印象的だった。アニメ『サマーウォーズ』で主人公の特殊能力の描写として曜日計算が用いられていた。
それから何十年も経ち、私は私生活や仕事の中で何度も曜日を間違えてきた。たとえば「〇〇〇〇年7月11日(日)に集合」(本当は土曜日)とメールに書いてしまい、受け取った人が日曜日だと勘違いして事故になった、といった苦い経験もある。そのため、曜日を書くときは必ずカレンダーを確認する、あるいは混乱を避けるため可能なら曜日を書かない、といったマイルールがいつしか形成されていた。
転機が訪れたのは、中国で働いていた時のことだ。目の前で現地のスタッフが奇妙な動きをしていた。指の関節を順番に辿りながら、ブツブツと呟いている。何をしているのか尋ねると、「曜日を確認している」という。詳しく聞くと、曜日には法則性があり、時間はかかるものの、決まった動作を繰り返すことで特定できるのだという(後になって、それが「指カレンダー」と呼ばれるものだと知った)。
この出来事をきっかけにカレンダーへの興味が湧き、Excelに年月日と曜日を書き込んで法則性を見出そうとした。ほどなくして、曜日を決定する「ツェラーの公式」というものが存在することを知った。非常に複雑な計算式で、当初はとても暗算できるようなものではないと思ったが、「暗算の難しい部分を『暗記』で補えないか」と思いついた。つまり、「暗算」と「暗記」をバランスよく組み合わせることで曜日を特定するというアプローチを閃いたのだ。こうして、私は独自の各種メソッドを導出・整理した。
[a]×1.25 法
[b]4商法
[c]28/56/84法
[d]簡易くるくるメソッド
[e]くるくるメソッド
[f]丸暗記法
<論文> How to Calculate the Day of the Week (25 April, 2021)
https://github.com/KurukuruCaptain/SpeedCalendar/blob/master/how_to_calculate_the_day_of_the_week.pdf
(2)SpeedCalendar
2020年、私は曜日計算の競技化(SpeedCalendar)を始めた。スピードキュービングや円周率記憶再現などは、極論を言えば実生活に直接関係がない。一方で、曜日計算は生活に直結している。間違えれば大きなトラブルになりかねない。だからこそ、曜日計算の技術を可視化することには、十分な社会的意義があると考えたのだ。
プログラミングが得意な次男(当時小学5年生)に、曜日計算の専用アプリを作ってもらった。まだAIが今ほど普及していない時代のプログラムだが、ローンチから5年が経過した今でも非常にロバストで、数々のオンライン計測会で一切の不具合を起こしていない。その後、次男も忙しくなったため、ユーザー登録機能やランキング機能を含めた専用のオンライン競技会アプリは、私自身がAIの力を借りながら自作した。
現在はオンラインだけでなく、記憶力競技会の一種目としても曜日計算を実施している。まだ競技者は少ないものの、口コミで広がっている手応えがあり、将来が非常に楽しみである。
(3)旧暦(ユリウス暦)の曜日計算
世の中を探せば、一般的な曜日計算ができる人は他にもいるだろう。ここで言う「一般的」とは、1582年から現代まで使われている「グレゴリオ暦(新暦)」のことだ。一方で、それ以前に使用されていたカレンダー規則が「ユリウス暦(いわゆる旧暦)」であり、その時代にも当然、曜日が存在していた。私は、紀元前を含むこのユリウス暦の年月日からも、曜日を暗算で導き出すことができる。「どうやって正解を確認するのか」と思われるかもしれないが、例えば以下のサイトで検証が可能だ。
https://keisan.site/exec/system/1257144260
一見すると「だから何?」と思われるような特技かもしれない。しかし、とにかく今は手法を体系的にまとめ、多くの人に知ってもらうことで、共に楽しむ仲間を増やしたいと願っている。
(4)こたえ合わせ
曜日間違いに関するトラブルや事故は今までにたくさん見聞きしてきている。そのような中、なぜ「曜日計算」という概念がこれまで世間に普及してこなかったのか、私には不思議でならない。多くの外国人に、自国で曜日計算の文化やメソッドがあるかを尋ねてみたが、返ってくるのは「カレンダーを確認すれば十分」という回答ばかりだった。最初にきっかけをくれた中国人スタッフや競技会に来る競技者を除けば、これまでに曜日を計算できる人に出会ったことがない。言い換えれば、世間の大半の人はこの領域に興味を持っていないのだ。
しかし、繰り返しになるが、曜日計算は実生活に直結するスキルであり、他の多くの学問よりもよっぽど実用的である。英単語を100個覚えるくらいなら、曜日計算の変換表を覚えた方がはるかに役に立つとすら思う。小学校のカリキュラムの一つに組み込まれてもいいのではないだろうか。
もしかすると、この考え方自体、私が何か大きな勘違いをしているのかもしれない。その「こたえ合わせ」は、もうしばらくこの活動を継続した先ですることにしよう。
●死ぬまでにやる100リストNo.321「100の人生の答合わせをする」進捗28/100
<死ぬまでにやる100リスト>https://goo.gl/iPz2BH
<こたえ合わせ>https://forgetist.com/?cat=574
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