1.世界記録更新?
一人で一度に何人にキューブを教えられるか?
こういう競技があれば多分この日アディドメ高校で世界記録が更新されたのではないかと思う。
授業のない土曜の朝にアディドメ高校の生徒で興味がある者に限ってキューブの課外授業を開催する旨を事前に伝えていた。キューブ教室に集まるのが数人だったら寂しいな、と危惧していたが、なんと500人以上の生徒が講堂に集まってきた!実際には朝食を終えた寄宿舎の生徒がほぼ全員やってきた。
2. キューブ教室から早そろえ競争に
たくさん集まりすぎた。学校に寄贈したキューブと指南書は70セット。とても各生徒に行き渡らないし、キューブの六面完成講座ができる状態ではない。何も事前の知識ない500人に対して「キューブの上面の層を180度回してください」と伝えても3割の人間は正しく回せないだろう。それくらいキューブにかかるコミュニケーションは難しい。六面を完成させるには一人一人に対して丁寧なサポートが必要だ。
手伝ってくれるアディドメ高校の先生方と相談し、この日はキューブの紹介とキューブに関心を持ってもらうことを主眼に置くことにする。ゲームの要素を取り入れ集中力を高めるため、500人の生徒をいくつかのグループに分け、グループ間で早そろえ競争を開催。賞品は中国からお土産で持ってきた手品グッズだ。
3. 早そろえ競争!
キューブの解法にはいくつかあるが、最もポピュラーなものはCFOPと呼ばれる解法だ。私の主宰するくるくる会でもこの解法を採用している。この解法は8つのステップから構成されるが、今回の早そろえ競争では、ステップ1の白クロスとステップ2の白面を完成させることをゴールに設定した。
まずは分けられたグループ、それぞれにキューブを渡す。簡単な説明の後に一斉に白クロスを目指してスタート!
1グループが9名程度なので、一つのキューブに触れる生徒と触れない生徒がでてくる。当然、触れない生徒にとっては面白くない。しかしここでグループに明らかに差が出る。
触っていない生徒も積極的に声を出して参加している6割のグループと、一部の生徒しかキューブに触っていない残り4割のグループ。当然、前者の6割のグループの方がパフォーマンスは良い。そして何よりも楽しそうだ。
これは小規模な社会実験だ。キューブをそろえるというグループのタスクに対して、どうやって取り組むとパフォーマンスを出せるか。個人の力量に任せるよりもグループの共同作業とした方が良い、という明確な回答がそこにはあった。
4.ガーナチャンピオンを目指して
欧米やアジアで年々とキューブ熱が高まっている。更にスポーツと異なり年齢による衰えがあまりない競技のため、これらの国で開催されるキューブの大会で入賞するのは非常に困難である。
一方でガーナでは、未だキューブの大会が開催されたことはない。キューブを六面そろえられる人間がガーナに存在するかどうかも確認できていない。そうとすれば、アディドメ高校からガーナチャンピオンが生まれる可能性も決して低くない。
今回、70個のキューブと70部のマニュアルをアディドメ高校に残してきた。将来アディドメ高校からガーナチャンピオンが生まれることを願って止まない。
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