現在中国に住んでいるから無意識に感じていたのかもしれないが、この再訪期間中、ずっと「中国」が視界に入ってきた。
- ドバイ→アクラ行きの飛行機に乗っているアジア人は中国人ばかり。
- アクラの空港出口では中国人の名前が書かれたプラカードが何枚も。日本人の名前はない。
- 協力隊時代は日本語がかかれた中古のワンボックス(例:〇〇建設)をよく見かけたが、今回は中国語がかかれた中古のワゴン(例:〇〇集団)が多数。
- 車メーカー以外で日本の企業ブランドの広告はゼロ。その代り韓国ブランド(三星やLG)と中国ブランドが多数。特にHUAWEIは至る所に広告を出していた。
- 病院の院長先生や学校の先生方に「中国から来た日本人」と紹介すると、中国の話になる。中国は金を持っていてガーナの至る所に投資をしているようだ。日本の話は殆どなし。
短期間の滞在ではあったが私の肌感覚では、一般消費者に対する中国の存在感は圧倒的であり、残念ながら日本の存在感は殆どない。
原因として考えられるのは、対アフリカ投資や貿易の額の圧倒的な違い。10年前は、ほぼ同額だった日本―アフリカと中国ーアフリカの貿易額は今や日本ーアフリカは中国ーアフリカに4~5倍も水をあけられている。もう追いつきようがない。
そして私の協力隊時代には世界一位であったODA(政府開発援助)拠出額が現在は世界5位となってしまっていることや、日本人の謙虚さやアピール下手が日本の地位低下を招いていると思われる。
更に華僑の存在が絶大だ。シドニー駐在時代もそうであったが、華僑による中華圏(チャイナタウン)を形成する動きはガーナでもある。首都アクラのチャイナタウンはマコラマーケット近くのGhana Chinese Commodities Wholesale Town。一説によるとガーナの華僑は7万人いる。日本人の100倍以上は居る。
本当の中国のパワーを感じるには日本や中国に居ても分からない。日中を比較したければ、日本や中国でもない国で日本にも中国にも利害関係がない人間にジャッジをしてもらうのがよい。
ガーナでの状況を見ると、日本よりも中国が圧倒的に優勢。
日本の報道を見ていると、親日の中国人の証言やチャンピオンデータに基づく稚拙な分析によるものが散見され、何とか中国のネガティブな面を強調して一瞬の安堵を得ようというものが多い。実際には、世界の人たちの中国に対する印象は決して悪くない(素行や言動も含めて)。個別事案は別として国としての弱点(政治・経済・軍事)は少ない。
アフリカの人々の63%は中国の持つ影響に対して「やや好意的」もしくは「非常に好意的」な見方を示した。一方、「やや否定的」もしくは「非常に否定的」な見方を示した回答は15%にとどまっている。(出典:アフリカと中国)
この事実を日本人が受け入れられないという気持ちは、分からなくもない。
中国に一矢を報いよういう気骨のある日本人がいれば、個人レベルでも良いのでガーナなどのアフリカ諸国を目指せばよい。日本のニュース番組や新聞報道では決してわからない、日本人にとって不都合な現実がそこには存在する。
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