ずっとずっと前の話。
長く使っていた傘が、ある日忽然と姿を消した。置いた場所は確かだった。だが少し離れて戻った時にはもうなかった。
それは、ただの傘ではなかった。10年以上も使い続けていた紳士傘で、使ったあとはきちんと乾かし、骨が曲がれば補強し、撥水スプレーを吹きかけて生地を整える。そんな日々の手入れが、いつのまにか習慣になっていた。だからこそ、なくなったときの喪失感は大きく深く心に沈んだ。傘をひとつ失くしただけなのに、ぽっかりと穴があいたような感覚があった。モノへの執着がない自分にとって奇妙な感覚だった。
もう二度と、あの感情は味わいたくない。そう思った。そして選んだのが、コンビニで売られている透明なビニール傘だった。ビニール傘には、意外なほど多くの良さがあった。透明だから前がよく見えるし、驚くほど軽い。何より気に入ったのは、手をかけなければすぐに傷んでしまうという、ある種のモロサだった。使わずに置いておけばボタンやロクロが錆び、生地がたわむ。雑に扱えば、すぐにそれが形に出る。
手をかけなければ、もたない。そんな繊細な性質が、不思議と性に合っていた。
ところが、思わぬ落とし穴があった。ビニール傘をすぐに紛失してしまうことだ。統計を取りはじめてから、5年で2本。そして先日、3本目が消えた。今回は、特に思い入れのある一本だった。柔らかくしなやかな素材で、持ったときの手触りが良く、気をつけて扱っていた。台風の強い風の日には傘を傷めないよう、自分が濡れて歩いたことすらあった。112回の使用。785日、35.8時間という時間の重なりは、確かな愛着へと育っていた。
本当に、残念だった。けれど、残念がってばかりもいられない。今週は梅雨の雨が続く、、、だから、新しい傘を買った。今度は、GPSタグでもつけてみようかな。
●死ぬまでにやる100リストNo.198「ビニール傘を100時間使用する」再スタート
<死ぬまでにやる100リスト>https://goo.gl/iPz2BH
<ビニール傘所有履歴>https://docs.google.com/spreadsheets/d/e/2PACX-1vSdChHgU_KyZr9IA_3jLTBo1VtFtJN8gf3WwyaT4N6XcJFubYmqdZ9h4xFVZS9wx288OYRMI822zBiK/pubhtml?gid=395875825&single=true







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